「値引き」と聞くと、なんだか嬉しい響きがありますね。商品を定価で買うよりも値引いてくれるから、じゃあこっちも買っちゃえ、あれも一緒に･･･♬なんて買い物心を弾ませてくれちゃうわけで。
だからセールは好きだし、お気に入りブランドのセールの案内が来たらチェックしちゃいます。
交流分析でいう「値引き」というと意味合いはかなり違っていて、
「問題解決に関連する情報を気づかずに無視したり、軽視すること」
これが値引きの定義になります（ディスカウントとも呼ばれる）。
事実確認や根拠なく相手を低くみたり自分を低く捉えたり、あるいは状況を見なかったことにしたりあきらめたり､､､平たく言うとそういうことでしょうか。
残念ながら値引きされる側にはありがたくないことなんですが、往々にして値引きされたと気づいていない場面は多い、またはなんだかモヤモヤする、心が晴れない後味感で残る。
そして値引きする側も同様に値引きしているとわかっていない（自覚していない）場合が多い。
その理由は（多分ですが）多くが「値引き」という存在を知らないからでしょうか。。。
事実を無視したり軽視してとる行動に「値引き」が発生するわけですが、こういう値引きの行為にいく思考回路って、実際は ”日常あるある” なんだろうとも思うんです。
子どもへの虐待という いたましい事件の報道を見聞きすることがあります。
あの中で虐待をした大人の言い分として「躾のつもりでやった」という言葉が出てきます。
ここには問題の重要性を値引きしている可能性があります。
虐待行為にどれだけ問題があるかという部分を無視あるいは軽視しています。
躾だからと虐待してよいわけがありません。
友人から人間関係の相談を受けて話を聞く､､､なんていう経験、ありませんか？
話を聞いた上でいろいろアドバイスしても「うーん、私は無理かなー。他の人はできるかもしれないけど、無理だと思うんだよね～」の一点張りだったとします。
話を聞いていてそのうちイラっとするかもしれませんが（笑）、これ、友人は自分の問題解決能力を値引きしている可能性があります。
自分自身の能力を値引きしているということですね。
無理、無理と言って向き合わないうちに解決する力を発揮できないまま 人間関係がますます悪化していくかもしれません。
他にも、
問題の存在の値引き（問題があるのに、ないかのように振舞う等）
問題解決の可能性の値引き（問題に向き合わず自分の個性や自分らしさと捉える等）
といった値引きがあります。
上に挙げたように、値引きは他者だけでなく自分に対して値引きしていることがあるし、人ではなく状況（できごと）に対して値引きすることもあります。
こういった値引き行為はほんとに！ほんとーに！！世の中多いです。
値引きの存在を知ると、世の中は愛も溢れているけど値引きも溢れているし、
あれ？愛だと思っていた行為が実は値引きだった！？と思う瞬間もあるかもしれません。
値引きという存在を知ることで今まで見ていた現象や関係性、交わしていたやりとりや言動が違って見えてくると思います。
まずは日常の中で自分自身の値引きの経験を内観してみるといいかもしれません。
値引きが起こる時というのは客観的な状況判断ができていないため、自分や相手のことを値引いた言動をしてしまいます。
・私には無理、できるわけがない･･･
・あの人に相談してもこの問題は解決しないだろうなぁ････
・こんなふうになるのもしょうがないよ･･･
実は、セラピスト自身が時に陥りやすいのもこの「値引き」かなと思ったりします。ですからクライアントさんを値引いた言動になっていないか･･･、そこは常に自問自答する部分であり、自分の立ち位置を振り返る必要があると感じています。
特に交流分析には、
『人は誰でもOKである』
『誰もが考える能力がある』
『人は自分の運命を決め、その決定を変更することができる』
という３つの哲学があります。
そう、誰もがOKで素晴らしい存在で考える力があって、自分の人生を計画したり変更することだって自分で決めていいんだよっていうこと、主体的に生きていいんだよっていうことです。このようにクライアントさんは考える力があって自分の中に答えを持っているので、値引きなんて必要ないはずなんです。
値引きという存在を知り その意味を理解したら、現実吟味するためにも客観的な視点で振り返ってみることは大切です。
行動としてはまず自分が少しずつ「値引き」の習慣を減らしていくこと、それは自分に対して、他者に対して、そして事象に対してのです。
それをしていくことで、引いては自分のことを大事にしたり 他者を尊重するという軸ができて良好な人間関係ができあがっていくはずです！！
（値引きについて）
